この記事では「ジャズドラムセットのチューニング」の基本について学べます。
ジャズの中でも所謂「ビバップ」で聴かれるであろう、カラッとした「高め」のチューニングです。
- ドラムの基本的な音程の作り方
- ジャズドラムのチューニング
- ポップス、ロックとの違い
音程の基本的な傾向
ドラムのチューニングに絶対はありませんが、両打面の音程差による傾向を押さえてみましょう。
ファンダメンタルトーン(両面同じ)
- 実音は短3度上の音程になる
- 素直に抜ける感じ
- サスティンが自然に伸び、減衰する
トップが完全4度下
- 実音はトップと一緒
- サスティンの減衰が早く、タイト感を増したい時に有効
- 相対的に下げるとポップス、ロックで使いやすい
トップが短3度下
- 実音はトップの半音上
- トップが4度下よりもタイトさがまろやかに
- サスティンの調整要素として
ヘッドの種類、表裏の組み合わせなどでも音程感とサスティンの伸びは変化するので、微調整は必要です。
ジャズドラムのチューニング傾向
ビバップでは音色の軽やかさと、よりドラムがメロディ楽器的にアンサンブルしたいためにチューニングが高くなって行きました。
最近では低めにすることもあり、反応は鈍くなるのですが、逆にメロディ楽器と被らないことで、アンサンブルに溶け込みやすくなります。
ビッグバンドでは「ズン!」という感じが欲しいので、ビバップチューニングより全体的に低めになります。
どちらかと言うとポップス、ロックに使われるチューニング寄りになります。
スネア
- 打面 D〜E
- 裏面 G〜A
最近ではタイトで繊細な音を出しやすくするために、打面と裏面はピッチは高めにすることが多いです。
裏面は打面より張る傾向にあり、スナッピーが反応しやすく、かつタイトなサウンドになります。
初期ではあまりピッチが高くない音源も聴かれ、よりバサっとした音色が強調され存在感が増します。その分コントロールが難しい印象です。
バスドラ
ジャズではコントラバスと音色、音域が被らないように、ベースドラムもチューニングが高くなります。
- ロック、ポップスの特徴
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- ベタっとしたアタックを得るために打面を緩く
- サスティンをすっきりさせるためにフロントを張る
- ジャズの特徴
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- 早い反応と音程感を得るために打面は高く
- サスティンを得るためにフロントを緩める
フロントが打面より約 三度下
- 打面 E〜G
- フロント C〜Eb
打面が緩いチューニングに慣れていると、小口径でリバウンドが強いバスドラのコントロールに最初は戸惑いを覚えるかと思います。
「ズン!」と重心を低く出し難いのもリズムが取り難いですが、これが軽やかさの要素をになっています。
又、フロントヘッドに穴がなく、ノーミュートのバスドラが基本でそれもコントロールの難しさにつながっています
多くはタオルを畳んで打面ヘッドに当てることでサスティンの調整をします。
初めはとても踏みづらいのですが、ジャズドラムを本格的に味わいたい方は是非小口径で高めのチューニングのバスドラのコントロールを味わってみてください!
タム
タムは基本両面同じピッチです。
まずは同じにしてから音程とサスティンを好みに調整するのがオススメです。
- 12 Tom
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- 表裏 D
- 全体 F
- 14 Floor
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- 表裏 A
- 全体 C
ジャズと言っても編成や音楽性によってチューニングは変化します。
もちろん会場の響きにも左右されるので、基本を作ってからタオルやテープで調整もすることがあります。
今回のチューニングの高さより更に高く設定したり、フロアタムのみ低くしたりするドラマーもいたりと多様です。
基本を踏まえながらお好みをお探しください!