この記事ではジャズドラムの「シンバルレガートを音楽的にグレードアップする方法」について紹介しています。
ジャズドラミングでは一番奥深いと言っても過言ではないシンバルレガート。音色、フィール、フレージング…ドラマーの個性が色濃く反映されやすいですね。
なんとなく定番のパターンはわかるけど、バリエーションと説得力を持ちたい方々の参考になれば幸いです!
定番のパターン
ドラムセットはニューオーリンズでバスドラムとスネアドラムを一人で演奏するスタイルから始まりました。
元はマーチングバンドで行っていた演奏をそのまま一人で置き換えていたため、クラシカルなマーチングでしたが、次第にアフリカ、キューバのシンコペーションするリズムが入ってきました。
のちの「セカンドライン」の流れを組むことになります。
さらにはハイハットの登場により、スネアドラムに自由が産まれました。
そして、よりスネアドラムに自由を与えるために、ビートは「シンバル」へと以降していきます。
シンバルも初めは4分音符を打ち出していましたが、すぐにシンコペーションの影響が出てきます。
裏から蹴るようにして次への推進力を増すパターン、まるでスキップしている様なビートは「スキップビート」と呼ばれ次第にジャズドラムにおけるビートの主役として定着していきました。
基本は4分音符
スキップビートによって定着した「シンバルレガート」のベーシックパターンですが、あくまでもストレートな「4分音符」が基本です。
ハイハットと一緒に2、4拍にアクセントを乗せすぎると、ビートが重たくなってしまう原因にもなります。(状況にもよりますが)
後の「ブロークンしたパターン」を演奏する場合にも、基本の4分音符が下地として弱いと重たくなってしまいがちです。
自分にとって気持ちの良い4分音符をまずは探してみることがお勧めです。
ブロークンしていくパターン
ケニー・クラーク、マックス・ローチ、ジミー・コブ等によってライドシンバルのパターンはただ刻むだけの物ではなく、メロディに寄り添った使い方が模索されてきました。
さらにロイ・ヘインズ、トニー・ウィリアムスの出現で、よりシンバルレガートの表現力は高まります。
- ビート
- コンピング
- ソロ
などいくつもの役割を担うことが出来る様になってきました。
コンピングもセットで考える
コンピングの根元として、ビッグバンドにおけるホーンセクションのキック(キメ)が挙げられます。
後に出現するビバップではホーンセクションの合いの手さながらに、シンバルレガートをキープしながら、スネア & バスドラムでコンピングをしていきます。
これによりピアノ、ギターのコンピングからアイデアをもらうこともできます。
さらにメロディに寄り添うことで、抽象度が増していき、シンバルレガートがより自由になっていきました。
しかし、自由度が高いと逆に何をしていいかわからないもの…
そこでフレーズを整理するために以下の方法がオススメです。
- メロディを歌いながらレガートする
- レガートを全て歌う
- コンピングもレガートを基本として行う
メロディを歌いながらレガートする
お気に入りのテーマを歌いながらレガートしてみましょう。使うのは右手のレガートだけです。
4分音符を基本とし、メロディの合いの手を入れたいときにスキップビートを挟みます。
- テーマを正確に捕らえられているかの確認
- メロディに対して自分がどの位置が気持ち良いのか
- コンピングを何処に入れたくなるのか
などが明確になってきます。
例えば一小節を一区切りとする場合、バリエーションは合計で14個になります。
上記に縛られなくてももちろんOKですが、4分音符を基本とする場合、いずれかの組み合わせを行っています。
シンコペーションや休符を加えるとさらにバリエーションは増えますね!
レガートを全て歌う
レガート自体を歌ってみましょう。
歌うことに困惑される方も多いですが、メロディに対してドラムを歌うことに慣れない方は多いです。
しかし、歌うことでドラムのメロディの一部として感じることも出来ると考えます。
シンバルレガートの歌い方は「チーンチキ」ではなく「ディーディディ」等、低音を感じられる歌い方がオススメです。
ベーシックなパターンを歌ってみたら、崩したレガートパターンも歌ってみましょう。
レガートパターンが思い浮かばない場合は、前述のテーマのメロディを思い浮かべながらレガートしてみましょう。
テーマのメロディからアイデアをもらうことで、どうレガートをプレイしたいのか、歌いたいのかが浮かびやすいです。
コンピングもレガートを基本として行う
バップドラミングの様にレガートを固定して、コンピングをする場合は迷いは出づらいかもしれません。
しかし、よりモダンにレガートも変化させる場合にはスネア&バスドラのコンピングが曖昧になりがちです。
そこでシンバルレガートを基本として、スネア&バスドラのコンピングを組み立ててみましょう。
基本的にはスキップビートを加えるタイミングでスネア o r バスドラを入れてみます。
一例ですが、これだけでも考えられるバリエーションが一気に広がりますね!
またいつの間にか同じ場所にしか音を出さない、という現象を回避するために「◯拍目の裏のみに音を出す」など縛りを加えてみると、狙って音を出す良い練習となります。
手癖、足癖で行うのではなく、意図を持って、コンセプトを明確にして行う事がポイントです。
同様の練習方法をバークリーで教鞭をとっているIan Fromanも提唱しています。
全て英語ですが、是非一度チェックしてみてください!