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ジャズドラムソロの仕組みを知ろう!

この記事では「ジャズのドラムソロの仕組み」についてご紹介しています。

この記事で知れること
  • ドラムソロの基本概念
  • ジャズドラムソロの仕組み
  • ジャズドラムソロの発展系
目次

ドラムソロは孤独

いきなり物々しい言い様ですが…ドラマーはドラムソロになった途端一人ぼっちになるシーンが多いです。

ジャズにおけるバーストレード、コーラスソロ、フリーソロなど他楽器のバッキングが得られる機会が少ないです。
バッキングの上でドラムソロをとる瞬間もありますが、比較的ドラマーの比重が重くなりやすいですね。

ドラムソロには

  • メロディ楽器と同じく、フォーム(構成)を把握してソロをする
  • 与えられたスペースで展開を作る
  • 起承転結をつける
  • 当たり前の様にテンポキープ

と様々な要素があります。自分一人でも成立させる技量が必要という事ですね。

他の楽器も同じなのですが、特にドラマーには求められがちです。そう、孤独なのです…

定番フレーズを持つ

言葉を喋るのにも少しでもニュアンスを知っていないと喋れませんよね?

アドリブ的なドラムソロも完全にゼロからではなく、ある程度の定番フレーズを持っていると良いです。
ジャンル別にフレーズも分けて練習できると、サウンドにマッチしやすいですが、混ざるのも面白い現象です。

よく音楽は語学に例えられます。(ジャズは特に)
言葉を覚える → 使う プロセスを得て身になっていきます。

身体に馴染ませるために練習量は必須…!

バースソロ

バースソロは Bars = 小節数に従って分けてソロを行います。
主にジャズで使われる手法です。

ジャズで最もポピュラーなソロの進め方として、テーマの進行、コードに沿ってプレイする事が挙げられます。

ドラムソロも同じくテーマの中で行う事で進行に沿った演奏が出来ると言う訳ですね。
その中でもポピュラーなバース(小節)ソロでは、他楽器との掛け合いとなります。

例えば「Autumn leaves」の場合は構成がA – A – B – C と合わせて32小節です。

8小節ごとに掛け合いの場合

  • A 8 メロディー楽器
  • A 8 ドラム
  • B 8 メロディー楽器
  • C 8 ドラム

という具合に頭に戻ってこれますね。
4小節、2小節の掛け合いでも、割り切れるので区切りよく頭に戻ることができます。

しかし!中途半端な小節の曲の場合はどうなるでしょうか?
例えばセッションの超定番曲「 All the things you are」の場合は

  • A 8
  • A 8 
  • B 8
  • A’ 12

最後のA’の部分が4小節余ってしまいますね。

そこでこの曲はラストのA’ 12 小節を全てドラムにふって戻ることが多いです。半端な部分はやり切ってしまえ!ということですね。よって…

この曲で8barsを回す場合は以下のようになります。

  • A 8 メロディー楽器
  • A 8 ドラム
  • B 8 メロディー楽器
  • A’ 12 ドラム

4bars の場合

  • A 4 メロディー & 4 ドラム
  • A 4 メロディー & 4ドラム 
  • B 4 メロディー& 4ドラム 
  • A’ 4 メロディー& 8ドラム 

ラストで帳尻を合わせる形となります。
2barsまでくると余りがなくなるのでそのまま頭に戻れますね。

このように4,8barsで割り切れない場合はラストに帳尻を合わせるために、余を付け足す事があります。

さらに小節が特殊な例として「Stablemates」を挙げてみましょう。

構成は

  • A 14
  • B 8
  • A’ 14

となっている為、2Bars以外では余りを補うにしても中々ややこしくなっています…

そこで!多くの場合はセクションで分けてしまいます。

1st chorus

A 14 メロディ楽器
B 8 ドラム
A’ 14 メロディ楽器

2nd chorus

A 14 ドラム
B 8 メロディ楽器
A’ 14 ドラム

2コーラス回すと頭にメロディー楽器でテーマに戻って来れるわけですね。

半端な小節の曲は逆にやり方が限定されるので、ある意味やりやすいのかもしれません。

コーラスソロ

コーラスソロはその名の通り「コーラス(テーマ)を丸々ソロする」事です。
コーラス通りに戻ってこれる必要性があるので、難易度が上がります。

ある程度技量をわかり合った、任せても大丈夫と思えている演奏関係の場合に多いです(そんなもの関係なく回ってくることもありますが…)

テンポとフォームをキープしつつ、あたかもメロディが聴こえてくるような、かつ頭にスッと皆が戻れるようなソロが理想ですが…なかなかの技量が必要です。
ドラマーはテーマを把握している必要があるために、小節数はもちろんですがメロディーを完璧に歌えるぐらいにしておきましょう。

メロディが入っていなくても小節数があっていればできてはしまいます。が…音楽的には疑問が残るところ。

メロディを歌ったり、叩いたりしてモチーフが具体的になると、その曲ならではのソロの取り方になってきます。
メロディーを知った上で崩すのと、適当に崩すのでは違いますよね?

ドラマーだからこそ、メロディをよく聴いてみましょう!

わかりやす〜いソロ

Thelonious Monkの名曲「In Walked Bud」からRoy Haynesの2コーラスソロです。

  • 1コーラス目はテーマに沿ったプレイ
  • 2コーラス目は崩したプレイ

とコーラスソロのお手本のようなソロです。
モンクのリズミックな曲も相まって、ドラムで表現しやすいですね。

緩急で魅せるソロ

Roy Haynesのリーダーアルバム Out Of The Afternoonより「If I Should Lose You」の2コーラスソロです。

またもヘインズですが、スペースの使い方とフレーズの展開が絶妙です。
イーブンな音符、裏から入る2拍3連などを駆使してメロディックなフレージングになっています。

主に2小節で一つの歌い回しとなっており、コール&レスポンスのようにも捉えられます。

メロディをモチーフとしたソロ

John Coltraneの「A Love Supreme」のベースラインをモチーフとしたソロ。

楽譜にするのが難しいドラマーNo.1のジャック・ディジョネットが多点キットを使用して非常にメロディックなソロを展開しています。
ラストにかけて盛り上がっていくのですが、一貫して「曲」の中でプレイしているのが聴こえてきます。

テーマを変態的にとったソロ

変態ジャズドラマーと言えばこの人、アリ・ホーニッグ
Charlie ParkerのBillie’s Bounceをシンプルな3点セットで表現していますが

  • ピッチベンドを使った音程変化
  • 左手スネアでテーマをとりながらレガートを様々なサブディビジョンに変化

と今までのドラムセットの概念を広げるのと、驚異的なインディペンデンスを魅せています。

バンプソロ

バンプとは短い小節、フレーズを繰り返すことです。主にイントロやエンディングに使われます。

例) Bolivia

キック(キメ)が決まっていたり、指定のベースラインがあったりしますね。
キュー、いわゆる合図で次に行きます。

テーマ上で行うとメロディをモチーフにソロが展開しやすいのですが、バンプでは特に長いメロディラインがないために、ドラム単体でいかにフレーズを組み立てられるかが鍵となっています。

特にバンプを終わらせて次へ向かう時には、バンプのキックを強調することが多いです。

16系ジャズのバンプソロ

Joshua Redmanのアルバム、Elasticから「Jazz Crimes」のバンプソロです。

みんな大好きブライアン ・ブレイドが16系のファンキーな曲でバンプソロをとっています。
ポイントでキックを合わせながら、アプローチを変えてビルドアップしていくのが流石です!

ライブではさらにスゴイことに。

ドラム イントロ

ドラムイントロは4小節 or 8小節で始まることが多いです。

他の楽器がイントロをテーマの最後の小節を使うように、ドラマーもテーマからアイデアをもらえるとより音楽的なソロになります。

全てのテーマから発展したもチーフを出来れば良いですが、そうも言ってられない場合もあるものです。
その場合はある程度の定番フレーズをプレイできるようにしておくと応用が効きます。

現にPhilly Joe Jonesは自身のリックをどんな曲でも使うのがうまく、多くのレコードでプレイしています。

ジャンルによっては必ずしもフレーズで埋めなければならないのではなく、ビートから始まる場合もあります。

3点だけで十分すぎるほどのドラムイントロ

初めは小節数関係なく、フリーソロ→ビートを出して徐々に皆が入っていくパターンもあります。

フリーソロ(インテンポ)

フォーム、小節数関係なくソロを渡される場合があります。

トレードから始まってその後に受け渡されるか、初めからそのようなアレンジがあることが多いです。
回数が決まっていないバンプソロに近いかもしれません。

テーマの中で渡される場合はテーマに戻ってくる必要があるので、テンポを守ってソロをする必要性があります。
かつ起承転結をつけて皆が入りやすいように…とフリーと言いつつ結構制約があったり。

途中でテンポを変えてしまうソロもありですが、難解なテーマでは早くなりすぎるとあとで怒られる羽目になるので注意しましょう。もしくは冷ややかな目で見られます。

フリーソロ(ルバート)

テンポもフォームも小節数も関係なくドラムソロを行う事です。
特にフリージャズに多いですね。

ドラムイントロは完全にフリーで、テーマに入る時に明確なテンポを出し始める場合もあります。
テンポから解き放たれる事で自由度は増しますが、適当にやっているだけでは説得力に欠けます。

ドラムセットでどこまで表現できるか、自身の根源的な部分が垣間見れたりするので、一度はやってみることをオススメ致します。

ポップス・ロック

ポップス、ロックでも今までと同じ形式が当てはめられますが、バースソロはあまり聴かれません。
アレンジの上で、しっかりとドラムソロセクションが割り振られている場合が多いです。

ロックドラムソロの代表としてはLed Zeppelin の「Mobby Dick」が有名ですね。

短いリフの後、フリーに近いドラムソロをしてから、合図となるフィルインでリフに入っています。
恐らくこのフィルインはフレーズがある程度決まっています。アレンジされているという事ですね。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

ジャズのドラムソロと言っても様々なフォーマットがあります。
フレーズは限りないですが、仕組みはある程度パターンが決まっています。

事前に知っておくことで、音楽の流れを少しでも捉えておきましょう!

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