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ジャズのライドシンバルの選び方

この記事では「ジャズドラムのライドシンバルの選び方」についてご紹介しています。

みなさんはマイシンバルをお持ちだったりしますでしょうか?

ロック、ポップスの場合はスネア、ペダルを持参することはあってもシンバルはスプラッシュぐらいしか持っていない、という方もちらほらいらっしゃいます。

ジャズではシンバルレガートの音色に拘りたい為にライブには必ずマイシンバルをご持参されるドラマーが多いです。そして…シンバル探しの旅(沼)に出られます。

心地よい音が出せるシンバルで演奏できるのは気持ちが良いもの…!
良い楽器によって上手くなる要素
もあったりするので、お気に入りのシンバル選びの参考になれば幸いです。

目次

サイズ

シンバルのサイズは音の立ち上がり、音程、音量に影響します。

小さい
  • 音程が高い
  • 音量が小さい
  • ディケイが短い
  • 音の立ち上がりが早い
  • 少ないエネルギーで鳴る
大きい
  • 音程が低い
  • 音量が大きい
  • ディケイが長い
  • 音の立ち上がりが遅い
  • 鳴らすには多くのエネルギーが必要
20~21インチ

一般的なスタジオにあるライドシンバルのサイズは「20インチ」を多く見かけますね。
ジャズでも20インチのサイズはドラムセットとのバランス、音の広がり方、コントロールのしやすさも相まってとても扱いやすいです。

少し音量的に物足りない方は21インチにしてみるのもオススメです。

22~23インチ

響きの豊かさ、広がりを求めた結果、22インチも主流となっています。
よりピッチが低くなりやすいので、アンサンブルに馴染みやすいのも特徴です。

20インチよりもコントロールは難しいですが、音の広がり方がよりバンドを包み込むような感じが得られ、出せるダイナミクス幅も大きいです。

24~26インチ

さらには24、26インチもあります。より複雑な倍音と豊かな響き、音量が得られます。
ダイナミクスとアーティキュレーションのモンスター、ブライアン・ブレイドは好んで24インチを使っていますね。

22インチよりコントロールがさらに難しくなりがちですが、重量によっては逆に落ち着いた個体も見られます。

18~19インチ

逆に18~19インチのライドシンバルは小さな会場での演奏や、持ち込み機材をなるべく軽量にしたい場合に活躍します。
クラッシュ音も出しやすいので、あらかじめクラッシュとライドを兼任できる「クラッシュライド」と名前のついたモデルも出ています。

重量・厚さ

重量によってシンバルの印象は異なります。ここでも音程と鳴り方に影響が出てきます。

軽い(薄め)
  • ビッチが低くなる
  • サスティンが短い
  • 少ないエネルギーで鳴る
重い(厚め)
  • ビッチが高くなる
  • サスティンが長い
  • 鳴らすには多くのエネルギーが必要
サウンドインプレッション
  • 軽い(薄め) = 軽いタッチでも全体がなりやすい、倍音はランダムでトラッシー、会場によっては響きずらい
  • 重い(厚め) = 粒だちがはっきり出てくれる、倍音が細かく豊か、会場によっては響きすぎる

…とはいえどれくらいが重めか、軽めかわからないもの。

そこでインチ別にグラムを分けてみました。(18,24,26は所数が多くないため控えております)

20インチ 
  • 重め = 2000 グラム以上、
  • 軽め = 1600 〜 1900 グラム
22インチ
  • 重め = 2400 グラム以上、
  • 軽め = 1900 〜 2300グラム

個人的には…

  • 20インチ = 1800
  • 22インチ = 2200

あたりが、暴れすぎずかつ周りの音となじみやすく使いやすいなと感じます。
場所によっては少しパワーが欲しいと思うところも。

重量が同じでもプロファイルや、レイジング、ハンマリングによっても音の広がり方が変わります。

フィニッシュ

フィニッシュ(仕上げ,表面加工)はシンバルとスティックが接触した時に出る音に影響を与えます。

ナチュラル(トラディショナルフィニッシュ)
  • 最も一般的な仕上げ。高音が自然に伸びる。
  • レイジングが残っている為、スティックとの接触面積が少なくなり、スティックの鳴る音が大きく、輪郭がハッキリするサウンドになる。
ブリリアント
  • 磨きあげた仕上げ。見た目通り煌びやかな音がするが、通常より削って作られているため、サスティンが少し短い。
  • 表面が磨かれて滑らかになっている為、シンバルとスティックとの接触面積が広くなる。よって音量も出やすい。

ジャズではアンサンブルにほどよく馴染ませるために「ナチュラル」フィニッシュのライドシンバルが好まれることが多いです。実際、ジャズ向きとされている多くのモデルがナチュラルフィニッシュです。

「ブリリアント」はどちらかと言えばロック、フュージョン向きです。
ジャズではアクセントとしてセカンドライド、クラッシュで取り入れているドラマーもいます。

ライドはまずナチュラルフィニッシュ(トラディショナルフィニッシュ)から選んでみましょう!

ハンマリング

ハンマリングとはシンバルにハンマーを打ち付けて凹ませ、音を調整をすること、その跡を指します。
ハンマリングの数と規則性によってシンバルから出される音の成分を変化させます。

規則的

素直でストレートな倍音。

ランダム

波の伝わり方が複雑になり、濁りのある複雑な倍音。

ハンマリングが少ない

明るく単一の音になりやすい。

ハンマリングが多い

倍音が制御されるので音が暗くなりやすい。

ハンマリングもメーカーによって個性が出ます

マシンハンマリングは品質のクオリティーは均一ですが、複雑な倍音はハンドハンマリングの方が得られやすいとされています。

ジルジャンはマシンを多く取り入れており、イスタンブール、ボスフォラス系はハンドハンマードが主流です。
マイネルはマシンとハンドハンマリングを半分ずつ行っています。

レイジング

レイジングもハンマリングと同じく倍音をコントロールする大切な要素です。
シンバルの表面を削るため、レイジングの多いものは軽量になる傾向があります。

多い

サスティンが長く、高音域まで鳴る。

少ない

サスティンが短く、高音域の成分が少ない。

レイジングなし

極端にサスティンが短く、低域がさらに強調される。イスタンブールのタークシリーズが有名。

間隔がランダムなレイジングや、一見入っていないように見えて薄く入っている様なものまでバリエーション豊かです。

アコースティックなジャズではライドシンバルがアンサンブルでどのように混ざって欲しいかによってサウンドのキャラクターをみるといいでしょう。

プロファイル(カーブのかかり具合)

プロファイル(カーブのかかり具合)は音量と音域に大きく影響が出ます。
カーブのかかり具合が強いほど、スティックからのエネルギーを受け止められる量が増えます。

カーブが強い
  • エネルギーを多く受け止められるので、大きなサウンドが得られる。
  • 音域は高くなる傾向にある。
  • 埋もれない存在感のある音に。
カーブが弱い
  • エネルギーを受け止められる量が少ないので、音量が小さくなる。
  • 音域は低くなる傾向にある。
  • アンサンブルになじみやすい。

ジャズ向けのモデルではどちらのタイプも作られていますが、カーブが弱いシンバルの方が始めはコントロールしやすくオススメです。

見逃しがちなポイントなので、真横からチェックしてみましょう!

カップの音色

カップの形状によってアンサンブルでの音の立ち上がり、クラッシュした時の音の周り方が変化します。

主にカップの占有率(カップの大きさ)によってキャラクターが異なりますが、カップのレイジング・ハンマリングが施されている量によっても印象は変わります。

カップが大きい
  • ボウからエッジにかけての範囲が少なくなるため、立ち上がりが早くなる。
  • ストレートな鳴り方をし、ボウの打感が硬くなる。
  • 高音域が鳴るようになる。
カップが少ない
  • ボウからエッジにかけての範囲が大きくなるため、立ち上がりが遅くなる。
  • より幅広い成分が鳴り、ボウの打感は柔らかくなる。
  • 低音域が鳴るようになる。
レイジング・ハンマリングが多め
  • 音色は柔らい。クラッシュ時は全体に分散する感じ。
レイジング・ハンマリング少なめ
  • 高音がよく通る。クラッシュ時カップも一緒に鳴り、うねりが出る。

明瞭なカップ音が欲しいか、シンバル全体と馴染んでいるカップ音が欲しいかでも選択は変わります。

ジャズの場合はあまり鳴りすぎるとコントロールが難しいので、カップを叩いて耳障りでないカップのシンバルを選ぶのがオススメです!

まとめ

いかがでしたでしょうか?結局は実際に叩いてみないと分からない事が多いですが、サウンドをイメージできるだけでもシンバル選びも楽しくなってきます。

様々な要素を聴いて、語源化する事でも、欲しいサウンドがより具体的になるかと思います。

物価高騰で少し手が出しにくくなってしまいましたが、お気に入りのシンバルと出会えるといいですね!

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